こころとからだのリテラシー(身体文化論)2025前期08からだ編(1)生命・身体・主観

第8回 からだ編(1)生命・身体・主観




参考 シュレディンガーの猫

シュレディンガー『生命とは何か──物理的にみた生細胞』岩波文庫(初版は1944年)

熱力学第2法則によれば森羅万象は無秩序や混沌に向かうはずなのに、生物は見事な秩序と均一性を何世代にもわたって保てるのか。→遺伝

→分子生物学へ

■生命とは何か(生物学による)

ポール・ナース『ホワット・イズ・ライフ』(2020)

▼ステップ1 細胞
生命の基本単位 卵と神経細胞
1665フックが発見(顕微鏡)
レーウェンフック、単細胞の生命体を発見(バクテリア)→微生物
人体は人の細胞と微生物細胞が共生する巨大なコロニー。
1839 あらゆる生命体は、本質的に似たパーツ、すなわち細胞でできている。
→細胞は、すでにある細胞が2つに分裂することによってしか作られない。すべての細胞は細胞から作られる。すべての生命体は、大きさや複雑さに関係なく、たった1つの細胞から出現する。
細胞膜(外膜)、核、ミトコンドリア
生き物は秩序あるものを食べて無秩序なものを排泄することで体内の秩序を保っている。

▼ステップ2 遺伝子
メンデルの庭のエンドウ豆(定量的アプローチ)
一対の物理的粒子によって決まる。エレメント。
フレミングの染色体、人間は46個。
アベリー(1944)デオキシリボ核酸(DNA)人間の細胞1つに含まれる46本の染色体を合わせるとDNAが2メートル以上。
クリックとワトソン(1953)DNA二重らせん
2003年ヒトゲノム(遺伝子一式)DNA30億文字すべての配列を解析。
→地球上の人びとのものと完全に一致!

▼ステップ3 自然淘汰による進化
生命の多様性と創造の神話
至高の知性を持った設計者(神)の介入?
ラマルクからダーウィンへ(自然淘汰)
食べ物、配偶者をめぐる争い、病気や寄生生物の存在など、あらゆる自然要因による制約を乗り越えた個体が、結果として、他の個体より多く繁殖する。
競争できない個体の排除→適者生存
自然淘汰の条件①繁殖能力があること②遺伝システムを備えていること③その遺伝システムが変異を示し、その変異が生殖過程で受け継がれること。
有性生殖だと遺伝子がシャッフルされる。

▼ステップ4 化学としての生命
生命は化学である。
発酵の研究(パスツール)酵母細胞がブドウ糖をエタノールに変える。化学反応は細胞の命のあらわれだ。
生命体で発生する膨大な化学反応のことを代謝という。
生命のほとんどの現象は「酵素が触媒する化学反応」酵素はタンパク質からできている(ポリマー)。生体のポリマーは炭素、水素、酸素、窒素、リンからできている。とくに炭素。
炭素はもともとは光合成の化学反応による二酸化炭素に由来する。
生命は20種類のアミノ酸を利用する。

▼ステップ5 情報としての生命
あらゆる生体は、自らを維持し、組織化し、成長し、そして増殖する。これらは、生物が自分と子孫を永続させたいという、基本的な目的を達成するために発達させてきた、目的を持った行動である。→目的行動
細胞は、内と外の化学的かつ物理的な環境を常に評価し、その情報を利用して、自分自身の状態を制御している。→恒常性(ホメオスタシス)
DNAは符号化されている。桁は4つ。ATGCのヌクレオチド塩基。翻訳できる→DNAの符合をRNAに翻訳し、さらにタンパク質に翻訳する。
自分自身をきわめて正確にコピーできる。
遺伝子調節。オン、オフにする化学反応。環境変化によって生き延びるためのオンオフ。22000個の遺伝子のうち4000個がオン。

まとめ:生命の定義
①自然淘汰を通じて進化する能力。
②生命体が境界を持つ、物理的な存在であること。細胞。
③生き物は化学的、物理的、情報的な機械であること。生き物は目的を持った総体として機能する。

ウイルスは?

生物系統樹(進化論による)
ヘッケル



手のひらに太陽を(やなせたかし)

■身体(人体)

坂井建雄『世界一美しい人体の教科書』ちくまプリマー新書




■主観

環世界論(ユクスキュル
マダニの生活




生物の主観的世界
受容器の少なさ、それなりの確実性(カプセルに入っているような環世界)
環世界=知覚世界+作用世界
機械ではなく機械操作係

「環世界には純粋に主観的な現実がある。しかし環境の客観的現実がそのままの形で環世界に登場することはけっしてない。 それはかならず知覚標識か知覚像に変えられ、刺激の中には作用トーンに関するものが何一つ存在しないのにある作用トーンを与えられる。それによってはじめて客観的現実は現実の対象物になるのである。そして最後に、単純な機能環が教えてくれるように、知覚標識も作用標識も主体の表出であり、機能環が含む客体の諸特性は単にそれらの標識の担い手にすぎないと見なすことができる。こういうわけで、いずれの主体も主観的現実だけが存在する世界に生きており、環世界自体が主観的現実にほかならない、という結論になる。」

ローレンツの動物行動学
フッサールの現象学、実存主義、ハイデガーの世界内存在
行為主体性(エイジェンシー
痛み

本日のForms08


からだ編の予定
性現象、病気と健康、障害、社会的身体