パクリ経済
模倣、コピー、フェイク、シェア、盗用、コピペなど、この種の行為は文化の展開において重要な役割を果たしています。レシピ、コード進行、流行のファッション、OS、オープンソースなどのフリーな領域について考えます。
これはちょうど2年前の記事。その後は?
東洋経済オンライン
ヤバすぎ「漫画村」がそう簡単に消えない事情 ニーズがある限り「いたちごっこ」が続く
K.ラウスティアラ&C.スプリグマン『パクリ経済:コピーはイノベーションを刺激する』に拠る。
原題はThe Knockoff Economyでknock offは「模造品を手早く作る」という意味。この話を知的財産権の議論の前にしなければならない。
A イノベーションの独占理論
イノベーションをコピーから守る知的財産権。
創作者にはコピーを作る権利の独占権が必要だ。
これはイノベーションの独占理論。
音楽業界と製薬業界
B コピーが創造性の役に立つ!
ファッションデザインは著作権法で保護されていない。
商標やロゴは保護されるのに。
むしろコピーのおかげで栄えてきた。コピーが創造性の役に立つ。
なぜ後者が破綻しないのか。
コピー制限がイノベーションにとって重要となるのはどんな場合でなぜなのか。
じつはイノベーションは既存の創造性の上に何かを築く能力が必要。
料理。レシピは著作権で保護されない。創作料理もコピーされる。
それにもかかわらず新しいレシピが創作されている。
コメディアン。新しいジョークの創作。パクリあい。
スポーツのルール。フォーメーション。
フォント。
ビデオレコーダーの発明。1980年代の訴訟。映画産業はますます栄える。
金融産業。銀行、資産運用、保険。新しい投資方法と戦略は特許化されていない。
データベース産業。アメリカでは著作権は認めらていない。ヨーロッパでは認められている。
→模倣がしばしばイノベーションと共存している。
C ファッションにおける創造と模倣
フォーエバー21の模倣。素早くパクる。
ザラは年間1万点の新製品。
ファッションは地位財。それが伝えると期待されるステータスに基づいて購入される。違いを際立たせ、集団への帰属や個性を示すための手段。
→ファッションサイクル「流行ると意味がなくなる」
コピーの自由がスタイルの普及を加速させる。普及が早いほど衰退も早いる衰退が早ければ新しいデザインが求められる。
コピーはサイクルの燃料。誘発された衰退。
トレンドはコピー、参照、再加工によってつくられる。
デザイナーもディフュージョンラインを持つ。低い価格設定。
D コピーを禁じるルールは自由競争という活力を犠牲にして成り立っている
E コピーと創造性は共存できる
①トレンドと流行はアパレルなどの創造的産業で大きな役割を果たす。トレンドの力学。著作権侵害パラドックス。誘発されると衰退と固定化のサイクルが流行を作り上げジャンルを固定化する。
②完全なデジタルコピーが急増するにつれてライブパフォーマンスの体験が重視される。ダンスへの傾斜。レコーディングはライブのための宣伝材料にすぎない。パッケージからパフォーマンス体験へ。
③オープン戦略。オープンソース。ウィキペディア。オープンで、協力的で、本質的に共有に重点を置く。イノベーターは他人が開拓した創造性に手を加えてイノベーションを起こす。
④先行者優位性。先行者利益は模倣者がコピーするのに時間がかかるときに発生する。この時間を確保するのが知的財産権。しかしそれがなくてもリードタイムはある。コピーは流行り物好きに新しいデザインを求めるよう促している。
⑤コピーはブランドを宣伝する役割も果たす。模倣とクリエイティブの関係。業界による判定基準のちがい。
⑥重要なことは、イノベーションによる利益を増やすことであって、コピーの制限ではない。
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